全内視鏡下椎間板摘出術
全内視鏡下椎間板摘出術 FED (Full-endoscopic Discectomy)
FEDは腰椎椎間板ヘルニアに対して行う手術です。
腰椎椎間板ヘルニアとは、椎間板の一部が飛び出して神経が圧迫され、足の痛み、しびれなどの症状を生じる病気です(腰椎椎間板ヘルニアについて詳しくはこちら)。椎間板摘出術は飛び出した部分(ヘルニア)と、場合によっては椎間板自体を一部切除し、神経の圧迫を解消する手術です。
FEDでは、皮膚を1cm程度切り、長いスコープを背骨の近くに入れます。スコープにはカメラ部分と手術用器具が通過する部分があり、モニターに映した映像を見ながら各種手術器具を使用して黄色靭帯などを一部切除してヘルニアに到達し、ヘルニアを取ります。場合によっては椎間板自体も一部取り、神経の圧迫が十分にとれたことを確認して手術を終えます。FEDには3つの方法があります。
経椎間孔アプローチ(Transforaminal approach)
脊柱管内のヘルニアに対する方法です。背中の中心から7-10cm程度外側の皮膚を切り、背骨の横の椎間孔という穴からスコープを椎間板に挿入します。第1腰椎―第2腰椎間 (L1/2)から第4腰椎―第5腰椎間 (L4/5)の椎間板ヘルニアに対して主に行われます (第5腰椎―仙椎間(L5/S)は通常は骨盤に妨げられ椎間孔に到達することができません)。

経椎弓間アプローチ(Interlaminar approach)
脊柱管内のヘルニアに対する方法です。背中の中心近くの皮膚を切り、2つの椎弓の間(椎弓間)からスコープを挿入します。通常の手術やMEDに近い方法です。椎弓間が広い第5腰椎―仙椎間(L5/S)の椎間板ヘルニアに対して主に行われます。

後外側アプローチ(Posterolateral approach)
脊柱管の外側(椎間孔ヘルニア、外側ヘルニア)に対する方法です。背中の中心から5-8程度外側の皮膚を切りヘルニアめがけてスコープを挿入します。これらのヘルニアは背骨の関節(椎間関節)の裏側にヘルニアがあるため、通常の手術やMEDではヘルニアに到達しにくく、従来は背骨にスクリューを入れる手術(固定術)が行われていました。FEDは細く長いスコープを斜めの方向から挿入できるため、ヘルニアに簡単に到達することができます。

手術の所要時間はいずれの方法でも1か所につき30分から1時間程度、入院期間は3-4日間です(手術の前日に入院、手術の1-2日後に退院)。
内視鏡を使わない手術と比較して傷の大きさが小さいだけでなく、背骨の周りの筋肉を傷めることが少ないため、早期の社会復帰が可能です。また内視鏡手術は傷が感染する(膿みが溜まる)リスクが低いといわれています。
MEDと比較して、傷がより小さく筋肉の損傷も少なく、早期の退院が可能です。できるだけ傷が小さくしたい方、入院期間を短くしたい方に特に向いています。また椎間孔ヘルニア、外側ヘルニアに対しては最適です。一方、視野が狭く使える器具が小さいため、神経の圧迫が残る可能性が少し高くなります。当院では個々の患者さんに応じて最適な手術方法を提案いたします(各種内視鏡の違いについてはこちら)。
尚、椎間板ヘルニアの手術では手術後に再度ヘルニアが飛び出す(再発する)ことがしばしばあります。数年経ってから再発することもあれば、数日以内に再発することもあります。様子を見ているうちに回復することもありますが、再度手術を行う可能性が数パーセントあります。再発は内視鏡手術に限ったことでなく、大きく切る手術でも同様に起こります。再発を繰り返す場合には固定術を考慮する場合もあります。