脊椎の病気

頚椎症性神経根症

頚椎症性神経根症とは

頚椎には脊柱管という神経の通り道があり、中に脊髄という太い神経が通っています。脊髄は脳から体の各部と情報をやり取りする神経の本幹です。脊髄からは神経根という枝が出ており、椎間孔という骨の孔を通って脊柱管から出て体の各部につながっています。頚椎の神経根が押されて首や腕や手の症状が出た状態を頚椎症性神経根症といいます。頚椎症性神経根症の原因には骨の変形や出っ張り(骨棘)によって椎間孔が狭くなる椎間孔狭窄症、椎間板が飛び出る椎間板ヘルニアがあります。

症状

頚椎症性神経根症の主な症状は首、肩甲骨辺りから肩、腕、手にかけての痛み、しびれです。手がうまく動かない、力が入らないという症状が出ることもあります。はじめに首の痛みが出て、「寝違えかと思っていたがなかなか治らず、そのうち肩や腕が痛くなってきた、しびれが出てきた」というのが典型的な経過です。押される神経によって症状は違い、首から肩までのこともあれば、指にもしびれが出ることもあります。通常は腕全体や全ての指に症状が出ることはなく、腕の内側または外側、指では1-2本に症状が出ます。広い範囲に症状が出ている場合には頚椎症性脊髄症や他の病気が考えられます。

検査

頚椎症性神経根症の診断にはレントゲン検査、CT、MRI検査が有用です。レントゲン、CTでは骨による椎間孔狭窄がわかり、MRIでは椎間板ヘルニア、神経の圧迫がわかります。MRIでは脊髄がどの程度圧迫されているかはっきりわかります。心臓ペースメーカーが入っている等の理由でMRIが撮影できない場合には、背中から造影剤という薬を入れてCTを撮る検査(脊髄造影検査)を行います。

手のしびれを生じる病気には手根管症候群、肘部管症候群、糖尿病など頚椎以外の病気もあります。また手の運動障害を引き起こす病気には、神経・筋疾患といって神経や筋肉自体が変性してしまう病気もあります。症状と検査の結果を照らし合わせ、本当に頚椎症性神経根症が症状の原因か、どこが症状の原因となっているか特定することが治療方針を決める上で重要です。

治療

椎間板ヘルニアは自然に小さくなることがあります。骨の出っ張りなどで椎間孔自体が狭い場合には自然に広くなることはありません。ただ、どちらの場合でも自然に症状が治まることが多く、症状が出てからの期間が短い場合には内服薬、ブロック注射などで症状を緩和させます(保存治療)。頚椎症性脊髄症では症状が軽くても将来の悪化予防のために手術を行うことがありますが、頚椎症性神経根症では手術かどうかは本人次第です。時間が経っても治らず、本人が痛みやしびれで困るようなら手術を検討します。

手術には様々は方法があります。頚椎前方除圧固定術や人工椎間板置換術など首の前から入って椎間板ヘルニアを取る方法や、首の後ろ側から細い内視鏡を使って椎間孔を広げる手術(全内視鏡下椎間孔拡大術、FECF)があります。椎弓形成術、椎弓切除術、後方固定術を行うこともあります。症状が片側か両側か、頚部脊柱管狭窄症が合併しているかどうか、骨の並び方(アライメント)、ずれ(すべり症)などに応じて手術方法は決まります。

当院の治療

当院では低侵襲の内視鏡手術からインプラントを使った固定術まで患者さんの症状に合わせて幅広く治療を行っております。手術が必要かどうか、どのような手術が最適か、ご本人と相談しながら治療方針を検討します。

頚椎症性脊髄症

頚椎症性脊髄症とは

脊椎には脊柱管という神経の通り道があり、首では中に脊髄という太い神経が通っています。脊髄は脳から体の各部と情報をやり取りする神経の本幹です。脊椎の変形や骨の出っ張り(骨棘)、黄色靭帯の肥厚、椎間板の変性によって脊柱管が狭くなることを脊柱管狭窄症といいます。脊椎の一つ一つの骨の間には椎間板という柔らかい構造があり、この一部が神経の通路に飛び出した状態を椎間板ヘルニアといいます。また脊髄の前にある薄い膜(後縦靭帯)が骨のようになる病気を後縦靭帯骨化症といいます。

脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症などによって脊髄が圧迫され、手や足などに症状が出た状態が頚椎症性脊髄症です。尚、脊髄ではなく神経根が圧迫されて症状が出る病気を頚椎症性神経根症といいます。

症状

頚椎症性脊髄症の主な症状は手や足のしびれ、運動障害(うまく動かない)です。本人は手のしびれを自覚することが多く、運動障害には気づかないこともあります。「言われてみれば字をうまく書けなくなった」「そういえば最近転びやすくなった」というように、聞かれてはじめて意識するということもあります。また手足の動きが悪いのは年齢のせいだと思っていたのが、実は首が悪かったということもあります。首を動かしたとき(特に上を向いたとき)に手のしびれが強くなる場合には首で神経が押されている可能性が高いです。進行すると箸を使えない、うまく歩けないなどの症状が出て普段の生活に支障が出るようになります。転んで頭をぶつけるなどして首に負荷がかかった後に症状が強くなることがありますが、特にきっかけもなく悪化することもあります。

頚椎症性神経根症でも首から腕や手のしびれが出ますが、頚椎症性脊髄症では両手に症状が出ることが多く、足にも症状が出ている場合には頚椎症性脊髄症が疑われます。

検査

頚椎症性脊髄症の診断にはレントゲン検査、MRI検査が有用です。レントゲン検査では生まれつきの脊柱管の広さ、椎間板や骨の変性、曲がり具合などがわかります。MRIでは脊髄がどの程度圧迫されているかはっきりわかります。心臓ペースメーカーが入っている等の理由でMRIが撮影できない場合には、背中から造影剤という薬を入れてCTを撮る検査(脊髄造影検査)を行います。

手のしびれを生じる病気には手根管症候群、肘部管症候群、糖尿病など頚椎以外の病気もあります。また手足の運動障害を引き起こす病気には、神経・筋疾患といって神経や筋肉自体が変性してしまう病気もあります。症状とMRI検査の結果を照らし合わせ、本当に頚椎症脊髄症なのか、また脊髄のどこが圧迫されて症状の原因となっているか特定することが治療方針を決める上で重要です。

治療

骨の出っ張りなどで脊柱管自体が狭い場合には自然に広くなることはありません。一方、椎間板ヘルニアは自然に小さくなることがあります。頚椎症性脊髄症の方が転んだり交通事故にあったりすると脊髄が傷つき(脊髄損傷)、歩けなくなってしまうリスクがあります。脊髄は一度傷がつくと回復が難しいため、症状が悪くなる前に治療を行うことが大事です。椎間板ヘルニアで自然に小さくなる可能性がある場合や症状が強くない場合でも、脊髄の圧迫が強い場合には手術を検討します。椎間板ヘルニアで脊髄の圧迫が強くなく、痛みやしびれの症状で困る場合には飲み薬で症状を緩和させます(保存治療)。

手術には様々は方法があります。骨の並び方(アライメント)に問題がなく、ずれ(すべり症)がない場合には頚椎椎弓形成術や内視鏡を使った椎弓切除術が行われます。並び方が悪い場合や椎間板の出っ張りが大きい場合には頚椎前方除圧固定術や人工椎間板置換術、すべり症がある場合には後方固定術など、症状、レントゲンやMRIの結果などに応じて手術方法は決まります。

当院の治療

当院では低侵襲の内視鏡手術からインプラントを使った固定術まで患者さんの症状に合わせて幅広く治療を行っております。手術が必要かどうか、どのような手術が最適か、ご本人と相談しながら治療方針を検討します。

頚椎椎間板ヘルニア

頚椎椎間板ヘルニアとは

脊椎の一つ一つの骨の間には椎間板という柔らかい構造があります。椎間板はクッションのようなもので、椎間板があるおかげで脊椎はしなやかに動くことができます。椎間板は外側が繊維輪という硬い構造となっており、中には柔らかい髄核というものが入っています。繊維輪に亀裂が入り髄核が飛び出した状態を椎間板ヘルニアといいます。この椎間板ヘルニアが脊髄や神経根を圧迫し、痛みやしびれなどの症状が出た状態が椎間板ヘルニアという病気です。首に起こると頚椎椎間板ヘルニア、腰に起こると腰椎椎間板ヘルニアとなります。負荷や加齢によって繊維輪が傷むことが原因ですが、運動習慣のない方や若い方にも起こる病気です。

症状

椎間板ヘルニアの生じる場所、押される神経によって症状は異なり、脊髄が押されると頚椎症性脊髄症、神経根が押されると頚椎症性神経根症となります。頚椎症性脊髄症では両手、両足のしびれ、動かしにくいという症状が出ることが多く、頚椎症性神経根症では通常は首から片側の腕、手に痛みやしびれが出ます。
頚部脊柱管狭窄症と比べて、はじめに首に痛みがあることが多い、比較的急に症状が出るという特徴があります。

検査

椎間板ヘルニアの診断にはMRI検査が有用です。レントゲン検査では椎間板ヘルニアは写りません。心臓ペースメーカーが入っている等の理由でMRIが撮影できない場合には、背中から造影剤という薬を入れてCTを撮る検査(脊髄造影検査)を行います。心臓ペースメーカーが入っている等の理由でMRIが撮影できない場合には、背中から造影剤という薬を入れてCTを撮る検査(脊髄造影検査)を行います。

手のしびれを生じる病気には手根管症候群、肘部管症候群、糖尿病など頚椎以外の病気もあります。また手足の運動障害を引き起こす病気には、神経・筋疾患といって神経や筋肉自体が変性してしまう病気もあります。症状とMRI検査の結果を照らし合わせ、本当に頚椎椎間板ヘルニアが症状の原因か、どこが症状の原因となっているか特定することが治療方針を決める上で重要です。

治療

椎間板ヘルニアは自然に小さくなることが多く、症状が出てからの期間が短い場合には内服薬、ブロック注射などで症状を緩和させます(保存治療)。時間が経っても症状が改善せず、症状が気になる場合、困る場合には手術を検討します。ただし、脊髄が圧迫されて頚椎症性脊髄症となっている場合には、転んだり交通事故にあったりすると脊髄が傷つき(脊髄損傷)、歩けなくなってしまうリスクがあります。脊髄は一度傷がつくと回復が難しいため、症状が悪くなる前に治療を行うことが大事です。脊髄の圧迫が強い場合には手術を検討します。

頚椎症性神経根症の場合には、時間が経っても症状が改善せず、症状が気になる場合、困る場合には手術を検討します。保存治療で良くならない場合には手術を検討します。

手術には様々は方法があります。ヘルニアを取る手術、取らない手術がありますが、いずれも神経の圧迫を解消することが目的です。ヘルニアを取る手術は主に前から行う手術で、頚椎前方除圧固定術や人工椎間板置換術という手術です。ヘルニアを取らない手術は後ろから行うことが多く、頚椎症性神経根症には全内視鏡下椎間孔拡大術(FECF)、頚椎症性脊髄症には椎弓切除術や椎弓形成術があります。骨の並び方(アライメント)の問題や、ずれ(すべり症)がある場合には後方固定術などを行うこともあります。症状、レントゲンやMRIの結果などに応じて手術方法は決まります。

当院の治療

当院では低侵襲の内視鏡手術からインプラントを使った固定術まで患者さんの症状に合わせて幅広く治療を行っております。手術が必要かどうか、どのような手術が最適か、ご本人と相談しながら治療方針を検討します。

頚部脊柱管狭窄症

頚部脊柱管狭窄症とは

脊椎には脊柱管という神経の通り道があり、首から腰の上あたりまでは脊髄が通っています。脊髄は脳から体の各部と情報をやり取りする神経の本幹です。年齢、生活習慣、生まれながらの素因などによって椎間板の変性、脊椎の変形や骨の出っ張り(骨棘)、黄色靭帯の肥厚が起こり、首の脊柱管が狭くなった状態を頚部脊柱管狭窄症といいます。脊柱管脊柱管の広さには生まれつきの個人差があり、元々脊柱管が狭い方もいます。

頚部脊柱管狭窄症によって脊髄が圧迫されると手や足などに症状が出ます。脊髄が圧迫され症状が出た状態を頚椎症性脊髄症といいます。頚椎症性脊髄症の原因は頚部脊柱管狭窄症とは限らず、椎間板ヘルニアで脊髄が押されても頚椎症性脊髄症になります。尚、脊髄ではなく神経根が圧迫されて症状が出た状態を頚椎症性神経根症といいます。

症状

頚部脊柱管狭窄症の主な症状は手や足のしびれ、運動障害(うまく動かない)です。本人は手のしびれを自覚することが多く、運動障害には気づかないこともあります。「言われてみれば字をうまく書けなくなった」「そういえば最近転びやすくなった」というように、聞かれてはじめて意識するということもあります。また手足の動きが悪いのは年齢のせいだと思っていたのが、実は首が悪かったということもあります。首を動かしたとき(特に上を向いたとき)に手のしびれが強くなる場合には首で神経が押されている可能性が高いです。進行すると箸を使えない、うまく歩けないなどの症状が出て普段の生活に支障が出るようになります。転んで頭をぶつけるなどして首に負荷がかかった後に症状が強くなることがありますが、特にきっかけもなく悪化することもあります。

検査

頚部脊柱管狭窄症の診断にはレントゲン検査、MRI検査が有用です。レントゲン検査では生まれつきの脊柱管の広さ、椎間板や骨の変性、曲がり具合などがわかります。MRIでは脊髄がどの程度圧迫されているかはっきりわかります。心臓ペースメーカーが入っている等の理由でMRIが撮影できない場合には、背中から造影剤という薬を入れてCTを撮る検査(脊髄造影検査)を行います。

頚部脊柱管狭窄症以外の首の病気、頚椎椎間板ヘルニア、椎間孔狭窄症、頚椎症性神経根症でも首から腕や手のしびれが出ますが、頚部脊柱管狭窄症では両手に症状が出ることが多く、足にも症状が出ている場合には脊柱管狭窄症が疑われます。

手のしびれを生じる病気には手根管症候群、肘部管症候群、糖尿病など頚椎以外の病気もあります。また手足の運動障害を引き起こす病気には、神経・筋疾患といって神経や筋肉自体が変性してしまう病気もあります。症状とMRI検査の結果を照らし合わせ、本当に頚部脊柱管狭窄症が症状の原因か、どこが症状の原因となっているか特定することが治療方針を決める上で重要です。

治療

脊柱管が自然に広くなることはありません。頚部脊柱管狭窄症の方が転んだり交通事故にあったりすると脊髄が傷つき(脊髄損傷)、歩けなくなってしまうリスクがあります。脊髄は一度傷がつくと回復が難しいため、症状が悪くなる前に治療を行うことが大事です。症状が強くなくても脊髄の圧迫が強い場合には治療を検討します。飲み薬やリハビリで治療することはできず、手術で脊髄の圧迫を解消することが治療となります。

骨の並び方(アライメント)に問題がなく、ずれ(すべり症)がない場合には頚椎椎弓形成術や内視鏡を使った椎弓切除術が行われます。並び方が悪い場合や椎間板の出っ張りが大きい場合には頚椎前方除圧固定術や人工椎間板置換術、すべり症がある場合には後方固定術など、症状、レントゲンやMRIの結果などに応じて手術方法は決まります。

当院の治療

当院では低侵襲の内視鏡手術からインプラントを使った固定術まで患者さんの症状に合わせて幅広く治療を行っております。手術が必要かどうか、どのような手術が最適か、ご本人と相談しながら治療方針を検討します。

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアとは

脊椎の一つ一つの骨の間には椎間板という柔らかい構造があります。椎間板はクッションのようなもので、椎間板があるおかげで脊椎はしなやかに動くことができます。椎間板は外側が繊維輪という硬い構造となっており、中には柔らかい髄核というものが入っています。繊維輪に亀裂が入り髄核が飛び出した状態を椎間板ヘルニアといいます。この椎間板ヘルニアが脊髄や神経根を圧迫し、痛みやしびれなどの症状が出た状態が椎間板ヘルニアという病気です。首に起こると頚椎椎間板ヘルニア、腰に起こると腰椎椎間板ヘルニアとなります。負荷や加齢によって繊維輪が傷むことが原因で、腰の負荷が大きい方に起こりやすいですが、運動習慣のない方や若い方にも起こる病気です。

症状

腰椎椎間板ヘルニアの症状は主には殿部から足にかけての痛み、しびれです。椎間板ヘルニアが生じた場所によって症状の場所が違います。腰椎の下の方のヘルニアの頻度が高く、その場合には太ももの外側や後ろ側、ふくらはぎの痛みやしびれが出ます。上の方のヘルニアでは太ももの前側の痛みやしびれが出ます。腰椎椎間板ヘルニアでは立っている姿勢よりも座っている姿勢の方が症状が強くなることが多く、食事の時も座れず立って食事をするということもあります。ヘルニアの場所によっては逆に立っているのが辛いということもあります。

強く神経が圧迫された場合には足の力が入らなくなることがあります。腰椎椎間板ヘルニアでよくみられるのは、足首がうまく動かず足先が垂れ下がってしまうという下垂足という症状です。また排尿や排便に問題が出ることもあります。

殿部から太ももの後ろ側にかけての痛みは「坐骨神経痛」と呼ばれます。腰椎椎間板ヘルニアは腰部脊柱管狭窄症と並んで坐骨神経痛の原因となる代表的な病気です。腰椎椎間板ヘルニアは腰部脊柱管狭窄症と比べ、急に症状が出る、若い方が多いという特徴があります。

腰椎椎間板ヘルニアでは腰痛を生じることもあります。足の症状の前に強い腰痛が先行することがあります。初期の強い腰痛は1-2週間で自然に治ることが多いですが、ヘルニアの場所によっては腰痛が続くこともあります。

検査

腰椎椎間板ヘルニアの診断にはMRI検査が有用です。レントゲン検査では椎間板ヘルニアは写りません。心臓ペースメーカーが入っている等の理由でMRIが撮影できない場合には、背中から造影剤という薬を入れてCTを撮る検査(脊髄造影検査)を行います。

誰でも年齢を重ねると多かれ少なかれ骨や椎間板が変性するため、MRIを撮ると椎間板が飛び出していることがあります。足や腰の症状があり、MRIでその症状に見合った椎間板ヘルニアがあってはじめて、椎間板ヘルニアという病気であるということになります。梨状筋症候群など、腰の病気ではなくても殿部や足の痛みやしびれ、坐骨神経痛を生じることもあります。症状とMRI検査の結果を照らし合わせ、本当に椎間板ヘルニアが症状の原因か、どこが症状の原因となっているか特定することが治療方針を決める上で重要です。

治療

椎間板ヘルニアは自然に小さくなることが多く、症状が出てからの期間が短い場合には内服薬、ブロック注射などで症状を緩和させます(保存治療)。時間が経っても症状が改善せず、症状が気になる場合、困る場合には手術を検討します。ただし、足の力が入らなくなっている場合や排尿・排便がうまくいかないという症状が出ている場合には、症状が出てからの期間が短くても手術が勧められます。

手術の目的は神経の圧迫を解消し困っている症状を取り除くことです。手術の方法には内視鏡を使う方法(MED、FED)や顕微鏡を使う方法(Micro LOVE法)などがあります。

再発を繰り返す場合や椎間板変性症による腰痛がある場合などには脊椎固定術を行うこともあります。

また手術と保存治療の中間の治療として、椎間板内酵素注入療法という治療があります。これは椎間板にヘルニコアという薬を注入してヘルニアを椎間板と一緒に縮める治療です。

当院の治療

当院では内視鏡を使用した椎間板ヘルニア摘出術(MED、FED)など患者さんの症状に合わせた治療を行っております。手術が必要かどうかご本人と相談しながら治療方針を検討します。

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症とは

腰椎には脊柱管という神経の通り道があり、その中には馬尾神経という神経の束が通っています。馬尾神経とは脊髄から枝分かれした神経の束で、1本1本の神経は殿部から足の各部に通じています。年齢、生活習慣、生まれながらの素因などによって椎間板の変性、脊椎の骨の出っ張り(骨棘)、黄色靭帯の肥厚が起こって脊柱管が狭くなって神経が圧迫され、腰や足の症状が出る病気を腰部脊柱管狭窄症といいます。また脊柱管の広さには生まれつきの個人差があり、元々狭い方は脊柱管狭窄症になりやすいです。急に症状が出た場合や強くなった場合には椎間板ヘルニアが合併していることもあります。

症状

腰部脊柱管狭窄症の症状は主には殿部から足にかけての痛み、しびれです。脊柱管が狭くなる場所によって異なりますが、足の後ろ側に症状が出ることが多いです。安静にしているときにはほとんど症状がなく、長時間立っているとき、歩いているときに足が痛くなってくる、しびれてくる、力が入らなくなってくるという症状が出ることが特徴です。足の症状で長く歩けない、途中で休む、という症状は「間欠性跛行」と呼ばれ、腰部脊柱管狭窄症に特徴的な症状です。逆に、歩きはじめに足の痛みやしびれが出て、歩いていると楽になるという場合もあります。

進行すると歩ける時間が短くなり、安静にしているときでも足がしびれるようになります。また仰向けで寝ると足のしびれや痛みが出て横向きにしか寝られないということもあります。非常に強く神経が圧迫された場合には陰部のしびれが生じ、排尿や排便に問題が出ることもあります。

殿部から太ももの後ろ側にかけての痛みは「坐骨神経痛」と呼ばれます。腰部脊柱管狭窄症は腰椎椎間板ヘルニアと並んで坐骨神経痛の原因となる代表的な病気です。

腰部脊柱管狭窄症が腰痛の原因となることもあります。腰部脊柱管狭窄症以外の病気、椎間板変性症や変形性腰椎症が合併して腰痛の原因となっていることもあります。

検査

腰部脊柱管狭窄症の診断にはMRI検査が有用です。レントゲン検査では椎間板や骨の変性、曲がり具合などがわかり、脊柱管狭窄症の有無をある程度予測できますが、確定診断にはMRIが必要です。心臓ペースメーカーが入っている等の理由でMRIが撮影できない場合には、背中から造影剤という薬を入れてCTを撮る検査(脊髄造影検査)を行います。

誰でも年齢を重ねると多かれ少なかれ骨や椎間板が変性するため、若い頃と比べると脊柱管は狭くなります。足や腰の症状があり、MRIでその症状に見合った狭窄があってはじめて、腰部脊柱管狭窄症という病気であるということになります。腰部脊柱管狭窄症と同じように間欠性跛行を生じる病気には下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)という病気があります。また梨状筋症候群など、腰の病気ではなくても殿部や足の痛みやしびれ、坐骨神経痛を生じることもあります。症状とMRI検査の結果を照らし合わせ、本当に腰部脊柱管狭窄症が症状の原因か、どこが症状の原因となっているか特定することが治療方針を決める上で重要です。

治療

脊柱管が自然に広くなることはありませんが、症状が出てから短期間(1-2か月程度)であれば自然に症状が軽くなることがあります。また椎間板ヘルニアが合併している場合にはヘルニアが自然に縮小し神経の圧迫が解消することがあります。そのため、症状が出てからの期間が短い場合には内服薬、ブロック注射などで症状を緩和させます(保存治療)。時間が経っても症状が改善せず、症状が気になる場合、困る場合には手術を検討します。ただし、足の力が入らなくなっている場合や排尿・排便がうまくいかないという症状が出ている場合には、症状が出てからの期間が短くても手術が勧められます。

手術の目的は神経の圧迫を解消し困っている症状を取り除くことです。その方法は大きく分けて2通りあります。一つは神経を圧迫している骨や黄色靭帯を取り除いて神経の圧迫を解消する「神経除圧術」、もう一つはインプラントを使用して背骨の骨同士を連結する「脊椎固定術」です。

骨や黄色靭帯を取り除くだけで十分であれば神経除圧術を選択します。腰部脊柱管狭窄症では脊柱管の後ろ側の椎弓という部分を削り取る「椎弓切除術」を行います。内視鏡を使用する場合には「内視鏡下椎弓切除術(MEL)」「全内視鏡下椎弓切除術(FEL)」と呼ばれます。

背骨が曲がっている場合(側弯症、変形性腰椎症など)、骨同士がずれている場合(すべり症)、椎間板が痛んでいて腰痛を伴う場合(椎間板変性症)、脊柱管狭窄症だけではなく椎間孔狭窄症なども伴っている場合には、除圧術では十分に症状が取れないことがあり、脊椎固定術を検討することになります。

保存治療、手術のいずれも、治療前にあった症状がどれだけ改善するかには個人差があります。薬が良く効く方もいれば全く効かない方もいます。手術の効果にも個人差があります。各治療のメリット、デメリットを天秤にかけて治療法を決めることになります。

当院の治療

当院では内視鏡を使用した神経除圧術(MEL、FELなど)から脊椎固定術(PLIF、XLIF、OLIFなど)まで患者さんの症状に合わせた治療を行っております。手術が必要かどうかご本人と相談しながら治療方針を検討します。