全内視鏡下椎弓切除術

全内視鏡下椎弓切除術FEL (Full-endoscopic Laminectomy)

FELは腰部脊柱管狭窄症のうち特に一部だけが狭い症例や、椎間孔狭窄症の症例に対して主に行う手術です。 腰部脊柱管狭窄症とは、背骨の中の脊柱管とよばれる神経の通路が狭くなり、神経が圧迫され足の痛み、しびれなどの症状を生じる病気です(腰部脊柱管狭窄症について詳しくはこちら)。椎弓切除術とは背骨の中の椎弓とよばれる部分の骨と、椎弓を裏打ちしている黄色靭帯とよばれる靭帯を一部取り除き、神経の通路を拡張する手術です。FELは傷がMELよりもさらに小さく筋肉の損傷が少ないというメリットがある一方、視野が狭く器具が細いため、骨を削る力、黄色靭帯を取る力が弱いというデメリットがあります。そのため、脊柱管狭窄症のなかでは一部だけが狭い症例、狭い範囲で神経が押されている症例を得意としています(各種内視鏡の違いについてはこちら)。

椎間孔狭窄症とは、神経の枝(神経根)が脊柱管から外に出る部分(椎間孔)に狭くなり、神経根が圧迫されて足の痛み、しびれなどの症状を生じる病気です。椎間孔狭窄症は従来の方法では神経が押されている部分に器具が届きにくく、従来は背骨にスクリューを挿入する固定術とよばれる手術を行われることが多かったですが、FELでは固定することなく神経の圧迫を取ることができます(症例によります)。椎間狭窄症に対するFELは全内視鏡下腰椎椎間孔形成術FELF (Full-endoscopic Lumbar Foraminoplasty)と呼ばれることもあります。

FELでは、皮膚を1cm程度切り、長いスコープを背骨の近くに入れます。スコープにはカメラ部分と手術用器具が通過する部分があり、モニターに映した映像を見ながら各種手術器具を使用して骨などを削ります。神経の圧迫が十分にとれたことを確認して手術を終えます。
手術の所要時間は患者さんごとの差が大きく、1か所につき1-3時間程度です。入院期間は3-4日間です(手術の前日に入院、手術の1-2日後に退院)。