脊椎破裂骨折
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脊椎破裂骨折とは
脊椎破裂骨折は、椎体に対して長軸方向、つまり縦方向にとても強い圧迫力が加わることで生じる骨折です。一般的な圧迫骨折とは異なり、椎体の前方だけでなく後ろ側の壁まで損傷が及ぶため、骨片が神経の通り道である脊柱管内へ突出しやすく、脊髄損傷や麻痺を引き起こす危険性が高いのが大きな特徴です。
発生メカニズムと損傷範囲
胸椎や腰椎に起こる破裂骨折は、次のような条件で発生します。
受傷のきっかけ
受傷のきっかけは、胸腰椎部に縦方向から強い圧迫力が加わることです。高所からの転落や交通事故などが代表的な原因となります。
3柱説でみた損傷範囲
脊椎を前方・中央・後方の3つの支えで考える3柱説では、破裂骨折は前方支柱と中央支柱の両方が損傷している状態と定義されます。これに対し、一般的な圧迫骨折は前方支柱のみが損傷している状態であり、ここが両者を区別する重要なポイントです。
神経圧迫が起こりうる理由
破裂骨折では椎体全体が砕けるように骨折し、骨片が後方へ押し出されて脊柱管内に入り込むことがあり、その結果、脊髄や神経が圧迫されることがあります。
部位別の特徴
中下位頸椎(C3〜C7)の破裂骨折
中下位頸椎では、頭部に加わった外力が頸椎へ伝わることで、椎体前方に強い圧迫力がかかり、椎体が粉砕されるように骨折します。椎体の後壁まで損傷がおよび、骨片が転位するため、脊髄損傷を合併しやすい大変危険な骨折です。中下位頸椎損傷のなかでは、頻度の高い骨折型の一つとされています。
環椎(C1)の破裂骨折(ジェファソン骨折)
ジェファソン骨折は、第1頸椎である環椎に起こる特殊な破裂骨折です。頭部から強い垂直方向の圧迫力が加わることで発生し、環椎の前弓と後弓が骨折し、左右の外側塊が外側へ広がるように転位します。
胸腰椎移行部(T10〜L2)の破裂骨折
胸椎と腰椎の移行部は、動きの少ない胸椎と動きの大きい腰椎が連続する部位であり、力学的な負荷が集中しやすいため、破裂骨折が最も起こりやすい部位です。CT検査では、椎体が押しつぶされるだけでなく、後壁の骨片が脊柱管内へ突出している様子を確認できます。
圧迫骨折との違い
圧迫骨折と破裂骨折は、見た目が似ていても病態は大きく異なります。
圧迫骨折
圧迫骨折では、椎体の前方部分のみがつぶれ、後壁は保たれているため、脊柱の安定性は保たれます。骨片が脊柱管内に突出することはほとんどなく、神経障害のリスクは低いとされています。ただし、まれに時間が経ってから麻痺が出ることがあります。
破裂骨折
破裂骨折では、椎体の前方だけでなく中央部分まで損傷し、後壁が破壊されます。その結果、骨片が脊柱管内へ突出し、脊髄や神経を直接圧迫するため、神経障害や麻痺のリスクがとても高くなります。また、脊椎全体の不安定性も強く、慎重な対応が必要となります。
診断と画像検査
初期評価ではX線検査で骨折の有無を確認しますが、後壁の損傷や骨片の突出を正確に把握するには十分でない場合があります。
CT検査の重要性
CT検査は、椎体後壁の損傷や、骨片が脊柱管内へ入り込んでいるかどうかを評価するうえで極めて重要です。矢状断や冠状断の画像により、前方支柱と中央支柱の損傷を明確に診断することができます。
治療方針
脊椎破裂骨折の治療は、保存療法と手術療法に大別されます。
保存療法
急性期では、まず保存療法が第一選択となることがあります。頸椎損傷では、頭蓋介達牽引やハロー牽引を行い、重りを用いて整復と固定を図ります。胸椎や腰椎損傷では、装具やギプスによる固定、反復性整復法などが用いられます。
手術療法の適応
- 麻痺をすでに合併している場合。
- 今後、麻痺が生じる可能性が高いと判断される場合。
- 保存療法を行っても改善が認められない場合。
手術の目的と具体的な方法
除圧術
突出した骨片や椎間板、肥厚した靭帯などを取り除き、脊髄や神経への圧迫を解除します。前方から骨折した椎体を取り除く前方除圧固定術や、後方から椎弓を切除する方法などがあります。
固定術
スクリューやロッド、プレートなどの金属製インプラントを用いて脊椎を固定し、安定性と骨癒合を促します。椎体が大きくつぶれている場合には、自家骨や人工骨を用いて椎体を置き換える手術が行われることもあります。
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